強盗罪の反抗の抑圧
強盗罪の実行行為である暴行・脅迫は、程度要件として反抗を抑圧するに足りるものであることが必要である。
なぜこれが要求されていることを財産犯の体系に沿って説明できるだろうか。
これを理解しているかどうかで、強盗罪の当てはめの精度にも差が出てくることにもなる。
(読者の中には当たり前に説明できる人も多いと思います。)
近年の司法試験を見ても、財産犯の体系の理解をかなり問うているところがわかる。
(ちなみに財産犯の体系というのは、盗取罪、移転罪、交付罪などの財産犯の分類方法である。)
反抗抑圧するに足りる程度かどうかにより、強盗罪は恐喝罪と区別される。
つまり、恐喝罪は財物の占有移転が被害者の意思に基づいてなされる交付罪であって、被害者の意思の有無を言わせずに財物の占有を移転する窃盗罪や強盗罪では、占有移転に被害者の意思が関係してはいけない。
つまり、意思を抑圧することによって、交付罪性を喪失させるのが反抗抑圧の要件であると言えます。
ただし、意思の抑圧は、必ずしも完全に抑圧する必要まではないので、あくまで程度問題ということにはなっている。